今年最後のサイナスリフト作戦(大手町勤務歯科医の全顎治療、サイナスリフト、インプラントブログ)

他院で骨が無いからインプラントは無理だと言われて来院された方です。ご主人が私の患者さんでサイナスリフト(副鼻腔内造骨)を両側に行いインプラントを入れた経緯があったので、紹介でいらっしゃいました。左上奥から2番目が抜歯となり両隣の歯を削ってブリッジにするしかないといわれたそうです。レントゲンでは骨が不足していて、そのままではインプラントが入れられません。サイナスリフトが必要となるのでCTを撮影しました。この方の副鼻腔内には隔壁と呼ばれる尖った壁が走っていることが判明しました。ここを避けて手術を行う必要がありました。サイナスリフトは、かれこれ20年以上手掛けている処置ですが今回のケースはプレッシャーのかかる難しいものでした。隔壁や骨の中に埋まっている血管を避けて器具操作が可能な大きさの窓開けと呼ばれる処置が必要でした。隔壁をむやみに触れば骨内面に張り付いている膜を剥がす時に破れる恐れがあります。破れればその後の続行が不可能になる事があります。また血管に触れれば出血をおこし止血に多大な時間を要する事になり、手術時間が大幅に伸びてしまうことになります。窓開けの大きさが小さすぎると、その後の器具操作が難しくなり結果的に膜を破ったり、十分なリフトができない事になります。従って、窓開けの位置、形状、大きさを入念に事前に何回もシミュレーションしました。ここまで準備をすれば過度な緊張はなくなります。手術は心地よい緊張感、やりがいを感じながら行うことができました。第一段階である窓開けが無事成功し、その後、第二段階である副鼻腔内の粘膜を骨から剥がしていきます。3次元的な構造を頭に入れてありましたので、あとは経験による手指の感覚を頼りに隔壁の尾根と思われた部分で操作をやめ、最終段階である骨補填材填入を行いました。術直後のレントゲンでは副鼻腔内に風船のように膨らんだ造骨部分を確認することができました。半年後に骨が十分熟成するのを待ってインプラントを入れる予定です。今年最後の大一番でした。

術前のレントゲン。骨の高さが2㎜程度しかなく10㎜のインプラントを支えるだけの骨が無い
一般的なサイナスリフトの手順
サイナスリフトで副鼻腔内に骨を造るイメージ
CT3次元構築画像
左の画像の説明
模型でのシミュレーションとオペの様子
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