ザ・リッツカールトンホテル日本支社長、高野登氏のリッツ・カールトンが大切にするサービスを超える瞬間を読んだ。この本は東京代官山で開業されている若林先生が歯科雑誌にお勧め図書として紹介されていたものである。
医療もサービス業といわれて久しいが、一般企業と異なり歯科医は接客に関するトレーニングを受けずに業務にあたってきた。大学では技術のみで、経営やサービスに関する教育は皆無である。歯学部は教養課程の2年間は英語、独語、数学、社会学、哲学などあまり医療人となるうえで直接関係のほとんど無い科目から必修と選択で単位をとり、4年間の専門課程で歯科医療の様々な技術を学ぶ。
時代も変わっていることだし、6年ひとくくりと考えて最初から、歯科医療(治療技術)と歯科医業(経営)をバランスよく教育するシステムが必要なのではないかと思う。私自身、若い頃は(今でも時々あるが)患者さんにずいぶんと失礼な対応をしてお叱りを受けたり、黙って来なくなってしまわれたことがあった。
育った環境や本人の性格にもよると思うが、とかく医療人は私を含めて世間知らずが多いといわれている。歯科大学で企業と同じように、挨拶や名刺の渡し方から始まって社会人として最低限必要なマナーは教えてもいいのではないかと思う。とくに我々の患者さんはトレーニングを受けた企業の方ばかりだから、なおさら世間知らずから少しでも脱却するために初期のうちの教育は重要だと思う。
著者が「歯医者さんがリッツ・カールトンのライバルになった?」の項目は興味深かった。サービス業のトップクラスの方が我々の業界にも学ぼうとしている。逆はどうか。頭が固くならないように常に意識していないと取り残されるのは明白である。(長谷川)
リッツ・カールトンが大切にする サービスを超える瞬間 (2005/09/06) 高野 登商品詳細を見る |
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