言い訳は進歩の敵

 プロ野球日本シリーズは中日対ロッテで熱戦が繰り広げられている。今日の第6戦は今のところ2対2の同点だ。前・東北楽天ゴールデンイーグルスヘッドコーチ橋上秀樹氏がある本の中で、当時の野村監督のミーティングの内容を披露している。ある章のタイトルは「合言葉は、「言い訳は進歩の敵」」である。
「言い訳は進歩の敵」とは、野村監督が常々ミーティングなどでコーチや選手に言っていたという。野村監督の教えにふれた者なら、必ずこの言葉が呪文のように口から出るようになっているそうだ。橋上氏はこれまで多くの選手を見てきたが、「言い訳をしている選手」は、やるべきことをすべてやっていないのに、その失敗した理由を冷静に分析することなく、常に自分以外の何かに求めようとする傾向があったという。また、不思議なことに、言い訳ばかりしている人には、何故か周囲に言い訳がましい人間が集まってきて、「それなら仕方がないよね」、「お前が悪いんじゃないよ」などと、傷口の舐め合いをしていることが多いという。だから、つい言い訳をしそうになった選手がいると、「言い訳するんじゃない!言い訳は進歩の敵だ!」と野村監督は一喝していたという。
言い訳の一番良くないところは、ミスや結果が出ないことなどの理由を他者に求めることで、「自分の中にある原因はなんなのか」→「その原因に対して、自分はどう対処したらいいのか」といった思考の流れがすべて止まってしまうことであると、橋上氏は述べている。自分以外のもののせいにしても、何も現状は好転しない。自分を見つめ、己をあらためないかぎり、目の前の状況は変わらないのだ。たまに「自分はセンスがないから1軍には上がれないんです」という選手がいるが、これなどはまさに言い訳の典型と言っていいという。「では「センス」とはなんだろうか?確かに親から遺伝的に受け継いだ足の速さや筋肉の強さなどが1軍のレベルから劣っていたとしよう。でもそんな親から受け継いだ素質を言い訳にしているようでは、その選手の進歩はもうないと言ってもいいのではないだろうか。自分にはこういったセンスが劣っている、しかしこういうところを伸ばし、こんな選手になって1軍に上がってやる、そう考えることができなければ、その選手は伸びていかないのである。」
私も、わかってはいるつもりであるものの、ついつい結果が出ないと、知らず知らずのうちに、他に原因を求めて自分を納得させようとしている自分に気がつく。とあるSNSで”Excuse is enemy of progress”とやったら、数人の外国人が共感を示した。野村監督オリジナルの名言なのか、他の誰かの言葉なのかは知らないが、世界的な格言と考えてもいいのではないかと思った。思い通りにいかない時、逆境にある時は常に振り返りたい。「言い訳は進歩の敵」であると。ふう、やっと試合が終わった。なんと日本シリーズ最長試合となった。

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(2010/05/28)
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