今、今週木曜に予定されている東京医科歯科大学歯学部口腔保健衛生学科での講義の最終準備に入っている。今朝、レジメを大学の担当者に送り、後はスライドの最終手直しをしている。大手町にふさわしい知的な人材ルート確保(歯科衛生士)も今回の課題である。知的なビジネスパーソンが主な患者さんであることを考えれば、医療従事者側(我々であれば歯科医、歯科衛生士、受付)にも、それなりの気品と知性が求められるだろう(こう言ってる私が失格かも)。まあ、それはともかく学生に講義しなければならない立場上、今回は英国雑誌The Economistの記事からの教育に関する話題を拾ってみた。
雑誌Scienceに掲載されたブリティッシュコロンビア大学のグループが行った研究だそうなのだが、従来の教師が黒板に書いて語る伝統的な教え方よりも奇をてらった教え方の方が優れているとのことだ。奇をてらった教え方とはなんぞや。実験は850人の物理学必修の工学部の学生を対象に行われた。学生は全員、最初の11週は十分に認められた経験豊富な教師によって従来通りの講義がなされた。12週目から、2つのグループに分けられ、1つのグループ(実験グループ)は問題解決、討論、グループワークに多くの時間が費やされ、知識の習得は宿題とされた。学生らは授業の前にreading assignmentが課せられた。いざ授業が始まると学生らは少人数のグループに分けられ、特定の問題に対して議論し、教師は各グループを巡回してアドバイスや質問に答えるというスタイルがとられた。もう1つのグループ(コントロールグループ)は従来通りの講義形式で続けられた。
物理学の期末テストの結果は衝撃的なものだった。実験群の学生の方が従来型の教育方法をとられた学生よりもはるかに優れていたのだ。(上のグラフ)実験群の学生のうち3分の2が、従来型よりも多くのことを学べたとの感想を漏らしていたという。
この教育方法を実践することは、いきなりは私の能力では厳しいが、もっと学生に語りかけ、参加させるような授業ができないものだろうか。そんな意味で、先日の春日井教授の講演は多いに参考になった。春日井先生は八重洲ブックセンターでスティーブジョーンズのプレゼン方法ののDVDを何度も見て、ご自身の講演に応用しているという。ちまたの映画のDVDよりよっぽどおもしろいというから、私も探してみよう。今週の木曜には間に合わないけど。(長谷川)