うつ病と歯科

 先週金曜夜、植野歯科所長が精神科医師の講演会に行かれた。小生は他に先約が入っていたので行けなかったのだが、当歯科にも「うつ」の治療をされている方が増えてきている。場所柄、仕事のストレス、プレッシャーが最も大きい地域と考えられるので、当然なのかもしれない。問題なのは患者さん本人がきずいていない場合や、我々歯科医がこの領域について十分な教育を受けていないことである。植野先生によると、患者さん本人が危険な状態にあるにもかかわらず、歯医者がへたにてをつけてしまって、その歯科治療が引き金となり(歯科治療自体はうまくいったとしても)、自殺してしまうケースがあるというのだ。
植野先生が睡眠時無呼吸の患者さんを手がけられ、当院にマウスピース治療を導入されてから、かなりの年月が経過した。また私はかつて歯軋りが激しかったため、体中に電極をつけて夜中の間、検査してもらったこともある。こうしたことから、必然的に睡眠の勉強は多少はしなければならない。最近の政府広報にも、うつと睡眠の関係は深く、2週間寝つけられなかったら「うつ」の兆候があるとうったている。植野先生も、患者さんの様子がちょっとおかしいなと感じたら「最近良く眠れますか?」の一言が聞けないような歯医者では駄目だとおっしゃっている。
とかくインプラントだの歯周外科だの狭い領域ばかりに目が行ってしまうのだが、歯科医も幅広い知識をもたないと、患者さんを死に追いやってしまうことがある。しかし日本の場合、歯科医が患者さんに「あなた精神科に行きなさい」とはなかなか言えない。歯科医と精神科医のタイアップをどう考えるのか。今後の医療の課題の一つだと思う。
「そういやあ俺、ここ2,3日、あまり寝れてない気がするな。本部からのプレッシャーもきついし、俺もいよいよ、うつ病かな」と私が医局でつぶやいたところ、「ふざけんなよ。おまえは一番なりにくいタイプなんだから。」との植野所長の一言が効いたのか、その夜はぐっすり眠れた。まだ大丈夫みたいです、常務。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次