咬合再建から3年で咀嚼機能検査(東京大手町勤務歯科医の咬合再構成・全顎治療ブログ)

「他院でインプラントを入れられたが乱暴なのでこちらで診ていただきたい」とのことで来院された患者さんでした。当院では扱っていないメーカーのインプラントが入っており、「何かあった場合責任がとれませんので大学病院を紹介します」と一度はお断りいたしました。しかし「なんとしてもこちらでかかりたい」という患者さんの意志が強く、結局こちらが折れて治療を開始しました(通常あり得ないのですが・・・)。このホームページの治療例にも掲載させていただいているケースです。既存のインプラントポジションは咬み合わせを構築するうえで、かなりやりにくい位置に入っていました。方向も、「これどうしようかな」と悩まずにはいられない状態でした。インプラントを撤去して再埋入が理想なのですが、撤去時の患者さんの体への負担、再埋入すると仮定した場合の治療費を考えると既存のインプラントを無理やり生かすにはどうしたらいいかを考えました。まず咬合を阿部晴彦先生が開発された器具を使用して分析し、ワックスアップ(模型上に蝋で望ましいと考えられる形態を表現する工程)を私(長谷川)自身が行いました。技工士さんにオーダーの出しようがなく自分でイメージを作らないことにはどうしようもありませんでした。上は義歯、下はインプラントを1本追加し、天然歯は必要な歯に対して根管治療を行い、なんとか補綴(被せものや義歯を作ること)が終了しました。上もインプラントを望まれていたのですが、義歯が調子がいいので、そのまま使用していただきました。このケースにおいては、上顎の骨はインプラントで治療するためには大幅な造骨が必要であり、また骨が熟成するまでの咬合管理、インプラントを行った後の予後の不安を考えるとインプラントでの治療は基本的に断りたいと申し上げました。今回は幸運にも、「きちんとした義歯が作れればインプラントは必要ない」という阿部先生の言葉通りになりました。先日、崩壊していた咬合を再建してから3年が経過した時点で患者さんが来院されました。治療期間中には無かった咀嚼機能検査の機械が今は有るので早速計測しました。グミを20秒間噛んで粉砕の程度や溶出するグルコースの量を計測し182という値を得ました(100以上が正常)。また咬合力検査では680という値を得ました(500以上が正常)。また咬合重心(+印)もほぼ中央にあります。患者さんの「調子がいい」というコメントが数字でも表れました。(長谷川)

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