昨今、マスコミによるバッシングが激しいインプラント。適切なインプラントの選択、適切な知識、適切な手技があれば、患者さんにとって非常に有効であることは間違いないのですが、それでも失敗はどんな名医が行ったとしても起こりえます。インプラント周囲炎という言葉があります。平たく言えば、インプラントと顎の骨が当初はくっついていたのに何らかの理由(細菌、力、その他)によって、結合が壊れていく様(インプラントが最終的には脱落)を言います。アメリカやヨーロッパの歯周病学会でもホットトピックになっています。要するに、日本だけでなく世界的な問題になっています。
毎月、東京歯科大学水道橋病院で行われている歯周病研究会という勉強会があります。様々な大学医局員、開業医が集まって、様々なテーマにそって議論する会です。先月から約1年半に渡って、この「インプラント周囲炎」に関する原因と対策について、海外の論文でどれだけのことが現在まで唱えられているのか、会員でその知識を議論しシェアしようという趣旨で始まっています。昨日行われた会合では「インプラント周囲炎と細菌」というテーマでした。歯周病の原因菌とインプラント周囲炎の原因菌は違うのか、3つの論文が取り上げられ、議論されました。会員の中で、東京医科歯科大学の歯周病科に在籍している先生が、最新の知見をコメントしてくれたので、ある程度頭の中が整理できました。
インプラント周囲炎を極力無くすのは、患者さんはもとより、歯科医側でも切実な問題です。私は10月に「インプラント周囲炎と過剰な咬合力」という切り口で論文を検索、選択し会員に紹介する役割を与えられました。幸い私の後輩で、最近母校の教授になった者がおり、この件に関して研究してきているので相談しようかと考えています。
当院ではインプラント5年補償制度を設けており、万が一インプラントをやり替えなければならない場合には無料で対応しております。車検と同じでインプラントも定期検査は必要です。
今後、インプラント周囲炎の割合を更に少なくする手法が確立されるといいですね。