Facebookをぼーっと見ていたらたまたま雑誌Numberの紹介記事を見つけた。記者はアドラーの考え方と日本ラグビー界に奇跡をもたらしたエディ・ジョーンズのそれとが似ていると思い、インタビューを申し込んだという。エディさん自身はアドラー心理学に興味があるわけでも意識しているわけでもないようだ。記者が「アドラーもこう考えていますけど。」と尋ねると、「全く同感です。」と答えていた。記事の中で私が興味をひかれたのは「ハードワークが自信を生み、自信がつくことで習慣になる」というくだりだった。そこで、「ハードワーク」という書籍を購入した。2015年ワールドカップ南アフリカ戦にまつわる報道されていない興味深いエピソード、ラグビーを離れた時の過ごし方などが満載だ。多くの成功者と呼ばれる人たちが読書家であるように、エディさんも多くのビジネス書を読むそうだ。ビジネス書はだいたいみんな同じようなことが書かれているのだが、それでもなぜ読むのか。なかなか面白い答えが述べられている。日本代表ヘッドコーチの職を離れ、現在はイングランドのそれを務めていらっしゃる。前回のワールドカップでパッとしなかった同国だが、エディさんが就任すると6ネイションズで優勝するなど快進撃を続け、世界ランキングも2位まで浮上させたようだ。ラグビーはフィジカルなスポーツだが、メンタルも非常に重要だという。日本の負けぐせ意識をどのように解いていったのか。南アフリカ戦勝利に浮かれる選手たちをどう抑えて、彼がベスト試合と位置付けているサモア戦に結びつけたのか。南アフリカ戦の終盤でキックによる同点狙いではなく、スクラム選択で逆転狙いでいった瞬間に、選手はリーダーを超えたと思ったという。「心配は物事を解決することはない」などの人生訓も心に響く。ウィキペディアで調べてみるとコーチとしては決して順風満帆であったわけではないようだ。何回か読み返したくなる価値のある本だというのが、個人的感想。ハードワークを続けないと、やがて衰退してしまうのはラグビーも歯医者も同じか。
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