2003年2月26日、山陽新幹線の運転手が運転中に眠ってしまい、岡山駅でオーバーランするという事故が起きた。この事故によって、睡眠時無呼吸症候群と言う病気がマスメディアに取り上げられ、多くの人が知ることとなった。しかし、睡眠医学の歴史は浅く、まだまだ未知の部分が多い。手探り状態で始まったマウスピース治療も、様々なデータが蓄積され、健康保険にも導入されて数年が経つ。
とある大学病院の呼吸器内科から紹介されたKさん。中等度の睡眠時無呼吸との診断であった。睡眠時の1時間当たりの無呼吸低呼吸回数は26回(大学病院での検査値)であった。マウスピースにより当院にある簡易型検査でこの値は1.3回(正常値は5以下)に落ち着いた。Kさんも、周りからいびきを指摘されなくなり、日中の眠気も少なくなったとのことで、喜ばれた。マウスピースは単純な装置だが、患者さんのQOLを向上させるケースは多い。下記の資料を添付して、紹介元の病院に送った。客観的なデータを自院で出せるようになったことは、大きい。術者や患者さんの治療に対するモチベーションが上がる。(長谷川)
睡眠時に装着するマウスピース
左が非装着時、右が装着時。気道(背骨の前にある黒くダクトのように見える部分)がマウスピースにより拡大している
睡眠評価装置の心臓部。ここにデータが蓄積される。
血中酸素飽和度(左、マウスピース非装着時、右、装着時)酸素飽和度の低下(90%以下の時間が長いと場合によっては生命の危険も・・・)の改善が認められる。写真をクリックして拡大して見てください。
無呼吸低呼吸。(左)マウスピース非装着時(右)装着時。改善している。
気管音。いびきの指標。(左)マウスピース非装着時(右)マウスピース装着時。改善している。
患者さんにお渡しする検査結果(左)マウスピース非装着時、(右)装着時