無から有を生む楽しみ

無から有を生み出すという意味で、総入れ歯作りは、やりがいがある(保険では赤字になってしまうが)。「歯が全く無くなってしまった人に、インプラントで修復するケースを見かけるが、インプラントを入れられるほどの顎であれば、総入れ歯で十分満足させられるはず。満足させられないから(あるいは儲かるから)、歯科医はみんなインプラントに走る」とは、業界では有名な阿部晴彦先生の御言葉である。

阿部先生や当院の植野所長にご指導いただいて、卒業したての頃は苦手意識に強かった総入れ歯作りが、今では趣味の領域に入ってしまった。下の写真にあるような技工操作も歯科技工士にまかせず、なるべく自分でやるようにしている。

前にも似たような事を書いたが、インプラントは患者さんが外せないのに対し、総入れ歯は外せる。患者さんが嫌だったら外せるのだ。そういった意味で、総入れ歯は勝ち負けがはっきりしている。スポーツ感覚と言ったらいいのかもしれない。この症例の患者さんが私の作った入れ歯を受け入れてくれなければ、ブログのタイトルは「無から有を生む苦しみ」となってしまう。そういう事も隠さずに書こうとするから馬鹿なんだよな。(長谷川)

 
治療用義歯(仮の入れ歯)製作風景。南カルフォリニア大学の故Sosin教授と阿部晴彦先生が考案した咀嚼効率を追求したブレード臼歯を使用(左写真)。咬み合わせ再現用の機械に付着した状態(右写真)

顎の模型と治療用義歯の間に、特種な材料(歯科医にとっては特種でも何でもないけど)を介在させる前の状態

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