なにもない所に歯をどう並べるか。まあ大体こんな感じでいいわけがない。臨床歴50年の阿部先生でさえ、今日の患者さんに対する総入れ歯の配列は午後1時20分から始まって5時までかかっていた。それを食い入るように見つめていた私であった。それを見ていたインストラクターの上川先生のコメントもすごい。阿部先生がちょっと一服している間に、「もっと外側にくるはずだけどね。まあ、御大が並べるんだからしょうがないけど」。一服から帰ってきた阿部先生は、おもむろに直し始め、上川先生の予告通り外側に配列しなおし始めた。二人ともさすがだな。俺もだいぶ目が肥えてきたけど。このイメージを自らの手で表現し、自分の患者さんに還元するのだ。明日も楽しみ。(長谷川)
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