コロナにめげず総義歯医療(東京大手町勤務歯科医のブログ)


新型コロナウイルス感染症の影響で、当院でも診療を縮小する傾向にあります。患者さんの多くがテレワークで出社しない影響で地域柄もろにアポイントの減少につながっています。一部のマスコミでは歯科医院の危険性を報道していましたが、実際の歯科医療現場では、これまで歯科診療所を核とした感染拡大の報告がなく、これは困難な状況下で全国の歯科医療機関が精一杯の対応をしている結果と推察します。しかし、感染機会の増加を防ぐために当院では、しばらくの間、以下の措置を講じます。
1.標準的感染予防に加えて、人が接触する部位を消毒いたします。
2.エアロゾルの発生する切削器具、超音波スケーラー(歯石除去時)の使用は最小限にし、口腔外バキュームの併用をいたします。
3.待合室の待機患者数を減らすようにアポイント調整を行います。
4.待合室、診療室の換気を徹底するため、出入り口のオートドアは開放のままとします。
5.受付にて検温をさせていただき37.5度以上の方、咳などの呼吸症状のある方、2週間以内に海外渡航歴のある方はご受診を控えていただきます。
6.緊急性が少なく、延期しても問題が少ない治療、定期検診は延期もご検討ください。

そんな中、総入れ歯の患者さんが来院されました。前の入れ歯が、あわない、落っこちやすい、という事情があり、新義歯を心待ちにしていましたのでやむを得いと思いました。以前の義歯が出っ歯気味だったので、どのくらい前歯を後ろに引っ込めるかを模型上で検証しました。結果的に以前の義歯より上の前歯を7㎜後退させることにしました。これにより口唇の圧力で上の義歯が落っこちやすくなるのを解消する助けになるのではないかと考えました。最初の写真は旧義歯(左)と新義歯との比較です。


新義歯の口腔内での調整も幸い最小限ですみました。出っ歯が解消され顔貌も自然な感じになりました(顔貌は、当たり前ですが掲載できません)。また上の義歯は大きな口を開けても落ちてこないようになりました。


咬合力は旧義歯の295ニュートンから新義歯は503ニュートンへと増加し早くも新義歯効果が確認できました。この検査はセンサーが組み込まれている馬蹄形のフィルムを3秒間思いっきり噛んでもらい測定するものです。成人男性の天然歯がそろっている人で500ニュートン以上が正常とされているので、総義歯でも有歯顎並みの咬合力が得られたことになります。自分で入れた義歯の機能を可視化でき、しかも検査が保険適応となったのも術者にとっても患者さんにとっても福音だと思います。

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