再生治療の結果確認(東京大手町勤務歯科医の全顎治療ブログ)

昨日は東京は非常事態宣言が出されました。そんな中、歯周病治療中の患者さんが来院されました。ほおっておくと重症化しかねない方でした。右下の小臼歯に5か月前に歯周組織再生療法を行った方でした。エムドゲインという北欧で開発された薬を根面に塗布して歯の周囲の失われた組織の再生を図るという手術です。特に再生療法を行った後は厳密なプラークコントロールが要求されるので、コロナウィルスの社会的影響で来院が途絶え、プラークコントロールが甘くなり結果に影響するのが心配でした。幸いにして患者さんのプラークコントロールは悪化しておらず、わずかなプラーク除去で処置を終えることができました。術後まだ5か月ですがレントゲン上では歯と歯の間にあった骨欠損の改善が認められました。レントゲンはあくまでも2次元での所見しか得られないので、もう少し時間をおいてCTで3次元的な骨の状態を確認したいと考えています。歯周組織再生療法を始めたばかりの頃は1年後にリエントリーといって再度、歯肉を切開して骨の再生をいちいち確認したものですが、最近では患者さんの負担を考えレントゲンかCTでの確認のみにとどめています。
このケースの場合は大臼歯が欠損していて小臼歯に過剰な負担がかかっていたので、プラークに因る感染が主な原因でしょうが、それに加えて力による影響も歯周病の骨欠損に関与していた可能性が考えられます。大臼歯欠損に対してはインプラント治療で対応しました。再生療法を行った歯はまだプラスチックの仮歯です。歯周外科を行った場合、6か月以上たってから最終補綴(最終的な被せもの)を行うことが原則なので、もう少し待っている状況です。
ちっぽけな成功体験(まだ成功とは言い切れないかもしれませんが)かもしれませんが、こうしたことが一つでもあると根が単純なのか、1日の充実感、達成感が得られます。翌日になるとすっかり忘れてしまいますが。
この方は部分矯正(部分的に歯を動かすこと、このケースの時は上顎大臼歯が下の欠損部に向かって下がってきていたので矯正用のミニインプラントを使って圧下を行いました)、再生療法4か所(2か所は手術済)、インプラント5本(下左右大臼歯4本と上前歯部骨造成後に1本)を他に行っています。歯周外科(再生療法)後の補綴処置と再生療法が2か所が未処置です。特にこれから行う予定の再生療法はマイクロスコープ、マイクロメス等を使用した細かい作業が必要になります。着々とゴールに向かうプロセスは楽しいのですが、コロナのせいで足踏み状態が続きそうです。(長谷川)

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