7月から所長になってしまった。5月の中頃に言い渡され、6月の緊急事態宣言解除後のごたごた時期を準備期間として今日に至っている。実際に自分が上の立場に立ち、こうした最近なり過去に買った本を読んでいると日常の心構えですぐに応用できるものがたくさんあることに改めて気が付いた。普通に考えてみれば当たり前のことかもしれないものでも所長代理の頃は心に十分刺さっていたとは言い難い。今まで何をしていたんだと過去を悔やんでも時間は戻せない。毎日が必死である。「人の好き嫌いの感情をかなぐり捨てて組織のために合目的的に動く」「スタッフは内部顧客」「リーダーシップは地位ではない」「多くのリーダーが育つように意識する」など、実在の人物の体験談を通しての話の方が、コンサルの自己啓発ものよりも説得力があると感じるのは私だけだろうか。ボブ・アイガーはディズニーのCEOでいったんは引退したもののコロナ騒ぎの中で立て直すために期限付きとはいえ再度呼び戻された格好らしい。最近出版されたこの本の中では、様々な買収劇が網羅されていて、歯医者には関係ない話で自分の役に立つのかなと思ったが、なかなかどうして人の心を開かせるために腐心する様は圧巻であり、買収した後はその企業の過去の文化を尊重する姿勢にも感銘する。特にピクサー買収でスティーブジョブズの閉ざされた心を開き、最後は親友と言わしめたところはアイガー氏の人柄の大きさを感じずにはいられない。巻末にはリーダーの心得のようなものが項目でまとめられている。従業員数が7人の小さな組織でも何万人の大企業でも基本的な態度は同じとしている。最初に原書を読んだが固有名詞やアメリカの社会の背景知識不足、英語解釈不足を補う、プロの翻訳家の技の勉強などの意味で日本語訳も後に読んで理解を深めた。ブリジストンの元CEOの荒川氏の本は数年前に読んだが今読んだ方がグサグサ心に刺さる。カリスマ性が皆無の私が「小心者」のタイトルに惹かれて買ってしまったのだが、内容的には荒川氏はとても小心者とは思えない。繊細かつ大胆と言った方がいいかもしれないが、参考になる事、表現は随所に見られた。兎にも角にも私自身はこれからおこる経験、失敗、反省、過去の上司やスタッフの意見、情報収集、本から学べる事、などを通して突き進んでいくしかない。幸い支えてくれる人もいるのが心強い。6月から戻っていただいた患者さんには感謝しかない。(長谷川)
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