英国経済紙エコノミストから。
市場が混乱を起こす要因として、トレーダーの判断ミスがある。ただ、ケンブリッジ大学の神経学者で元トレーダーだったコーツ氏に言わせると、トレーダーに湧き出るホルモンが彼らの投資決定に大きく左右するそうだ。トレーダーが勝ち続けている時はテストステロンのレベルが上昇し、リスクを過小評価させてしまうという。トレーダーがストレスにさらされると副腎皮質がコルチゾールというホルモンを分泌して、リスクを過剰に恐れるようになるという。
コート氏によると、ロンドン証券取引所での実験で、トレーダーの唾液中のコルチゾールレベルが1日で500%上昇する事を発見した。コルチゾールレベル上昇は、原資産価格の変動平均値と強い相関があったそうだ。コルチゾールは脳が重要な記憶を呼び起こすことで危険に備えさせるホルモンだそうだ。しかし、過剰に分泌されると、理性的な判断に障害を及ぼすという。
何週、何カ月にも及ぶ慢性的なストレスは、過剰なコルチゾールを生み出す。睡眠不足によっても、この現象が起き、判断力を狂わすそうだ。問題なのはトレーダーがコルチゾールレベルが上がってストレスがあることが明らかなのに、彼らはそれに全然気が付いていないという。
経済危機を緩和するためには、トレーディング・デスクにもっと女性を雇うべきだという。女性は男性の10%しかテストステロンがなく、不合理な判断が起こりにくい。マーケットの混乱で緊張する場面でも女性のコルチゾールレベルは安定し、市場判断を誤りにくいのではないかとのことだ。
男性トレーダーだけでなく男性歯科医も過剰なコルチゾール分泌で、治療に対する判断が狂っては大変だ。ストレスはためないようにといってもなあ。とりあえず睡眠時間だけは確保するか。(長谷川)
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