定期的な口腔ケアはインフルエンザの発症率を抑えられる。(国会議員の講演)

日本睡眠歯科学会において、櫻井充参議院議員(民主党)の講演があった。櫻井氏は私の母校の同級生(彼は医学部)である。内科の医師でありながら(心療内科)、歯科に対して理解が深く、日本の医療発展のためには歯科の協力が不可欠との姿勢を保っている。
睡眠時無呼吸症候群の歯科マウスピースの保険導入(2004年)は彼の功績である。かねてより、氏はマウスピースの保険導入を訴えていたが、「一般的でない」「医科から歯科に依頼する医療形態は前例がない」などの理由で、なかなか認められなかったという。しかしJR西日本の新幹線居眠り運転事件で一気に認められたという。日本は、危機が明らかにも関わらず、何か大きな事故が起こらないと動かない国だという。しかし、厚労省の操作でマウスピース治療の診療報酬は欧米の10分の1に抑えられてしまい、保険導入から6年になるにもかかわらず、経営上魅力がないためか、手掛ける歯科医の数は限られているのが現状である。当院は植野先生の努力と多くの医療機関からの紹介のおかげで睡眠時無呼吸の治療がない日は無い。マウスピースは院内の技工士が作っているので何とかなっているが、これを外注したら赤字である。まだブラックボックス的なことがあり科学的探究心的興味と患者の救われたような表情を支えに1000症例は蓄積されたのではないかと考えられている。300症例を超えたときにデータをまとめて植野先生が学会発表しており、もうそろそろデータをまとめる時期にきている。今日の大学関係者の発表が10年もこの治療にたずさわりながら、たかだか30名程度の重症患者のデータしか示されていなかった。またマウスピースが経年的に無効になる例をだしていたが、原因に対する考察は一切行われておらず、大学の関係者がこの程度のレベルでいいのかと思わされた。
櫻井氏は、政治家の立場から医療費が増えても財政は悪化しない理由を諸外国を例に説明していた。また、口腔ケアはインフルエンザの発症率を抑えられること、医科における手術後の合併症の発症率が口腔ケアをしていない場合に比べて4分の1に抑えられること、癌で入院した場合在院日数を口腔ケアをしていない場合に比べて平均10日ほど短くすることができることなどをデータで示した。その他、認知症をへらす、児童虐待におけるネグレクト児の発見に歯科検診が役立つこと(子供に傷がないので医科サイドでは発見しにくい、虫歯が多い、未処置歯が多いことはネグレクトの可能性が高い)など、歯科医サイドでは言及されることのない例をまじえながら、口腔ケア、歯科検診制度の法制化の準備はもうすでにできていることが説明された。しかし、優先順位でどうしても歯科の問題は先送りになってしまうのだという。日本の歯科技工士の問題もしかり。日本の診療報酬では食えないから若手になりてがなく、高齢化が進んでいる。もしこの世代がリタイアした時、日本の歯科医療は成り立たなくなることも触れられていた。
櫻井氏いわく、「日本歯科医師会も、もっと勉強し認識をもつべきである。」歯科医師会の問題点として、医学部を卒業するとほとんどは学位をとるが、歯学部出身者はそうでない。すなわち研究をしたことがないから、データの取り方がわからない。データの取り方が分からないから、櫻井氏が何か提案しても歯科界は何もやらない。データがないから上を説得することはできない。説得できるモノがなければ、政策上、何も変えられないとのことである。
つい近視眼的に物事を見てしまいがちな中で、今日の講演は自分の仕事は、様々な切り口から見ると、重要なことが多く含まれていることを学んだ。医科に煙たがられるのでなく、真の連携を実現するには歯科サイドがもっと勉強する必要がある。学位を持ちながら日頃の自分の勉強不足を思い知らされた1日であった。

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