訴訟大国といえばアメリカが思いつくが、かつては隆盛を誇った弁護士の会社が次々倒産したり弁護士が解雇される傾向にあるようだ。HowreyというLaw firmは2年前は世界のトップ100に入っていた会社で8カ国に700人の弁護士をかかえていたが、今年の3月でなくなってしまった。2009年と2010年でアメリカでは9500人以上の弁護士が解雇され、この数字は全米総弁護士数の約8%だそうである。この傾向の理由としては昨今の経済不況が挙げられている。「企業の吸収合併」は米国の弁護士が扱う内容としては一番利益が上がるらしいのだが、最近はこれが少なくなったらしい。また顧客が、弁護士になりたてで研修中のような人にも多額のお金を払う事に嫌気がさしてきているのも影響しているらしい。それ以外にも、多くのデジタル書類を分析し、よく訓練された弁護士と同等の判断が下せるというソフトが開発されて人件費削減に一役かっているのも原因らしい。
こうした傾向から、法律のプロというよりは金もうけ主義に走る弁護士が増えてきているとのことだ。弁護士になっても仕事がない状況への対策として、アメリカの弁護士教育として、法律家としてのこれまでの内容だけでなく、経営コンサルタントや会計士にもなれるようなカリキュラムが議論されている。しかし、この3つは全く畑違いで実際に事をすすめるのは簡単ではないらしい。唯一の本当の財産は顧客であるのは日本の歯科医もアメリカの弁護士も同じである。顧客にそっぽをむかれればHowreyのような55年の歴史がある会社でも、もろい。松翁会歯科は今年で満80歳である。どんなに歴史があったり、みずほ銀行が関係していようが、日本の歯科事情を考えれば、ちょっとした甘えの構造が診療所を崩壊に導く。
左の写真にある「子供は弁護士にしないで農業者やきこりなどにしなさい」という看板と同じように、日本の歯科医の間でも「子供は歯医者にしないで医者にしろ」という話題が頻繁にでている。顧客にそっぽをむかれないような診療所を常に意識したい。
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