歯を失ってから、骨を造って、インプラントを入れて、被せ物をするのには時間がかかる。下のケースも初診から10カ月かかった。できるだけ早く治療を終わらせたいと思うのは患者、術者の共通の願いだ。インプラント治療を早く終了させる考え方は、以前から提案されてきている。私(長谷川)は、どちらかと言えば、石橋をたたいて渡る方だ。時間はかかっても、より確実、より安全な方を選んでしまう。造骨処置から4カ月でインプラントが入れられると言われても、6カ月待つことが多い。5か月で骨はぼそぼそだったが、6カ月でしっかりした骨になったことも経験している。途中で失敗すれば、時間はかえってロスするのが嫌なのだ。ぼそぼその骨にインプラントを入れて固定が悪いために失敗するのが嫌なのだ。4本のインプラントで手術したその日に咬ませてしまう方法は、私にはとてもやる気にならない。インプラントの審美の追及や、恒常性の追求に関するテクニックは、どんどん研鑽すべきだが、骨の生理学を無視したような理論には警戒心を強めざるを得ない。まあ、基礎医学の世界も進歩しているだろうから、概念も変わってくるのだろうけど・・・
昨日、久しぶりに総入れ歯の患者さんがいらした。不思議なことに、歯周再生外科のセミナーを受けていると、再生療法希望の患者さんがいらっしゃる。根管治療のセミナーを受けていると、大きな膿の袋をもった感染根管のケースが現れたりする。今回も総義歯セミナー受講中だ。卒業したての頃は総義歯は苦手だったが、今は楽しみでもある(無から有を作り出すという点で)。といっても、感情のある人間相手だけに、油断は禁物だけど。
今日の午後は、水道橋で歯周病勉強会だ。まだ、英語論文読んでない。英検1級でも、さほど難解ではないとされる論文が何故かスッと頭に入らない。慣れの問題か、やる気の問題か、頭の問題か。いずれにしても(すべてにしても)、予習しないと担当の先生に失礼なので、この辺で筆を置くことにする。(長谷川)