燃料をセーブするタイヤ

英国経済紙エコノミストの記事から。

コメの殻から抽出されるシリカが、より環境に優しいタイヤ作りに貢献するという話が出ていました。タイヤの開発はエンジニアリングの粋を集めたものです。ナチュラルラバーで作られたタイヤは滑りやすいコーナーでも、ドライバーに安全性を提供してくれます。今日では、ラバーに似たポリマーや鉄を編んだ層を含んでいたり、繊維の強化もされているそうです。こうしたことは、車のパフォーマンスと燃料消費減に貢献しています。

F1でもおなじみのイタリアのタイヤメーカーであるピレリが、コメの殻の成分の一つを抽出し、それを利用してより環境に優しく燃料消費減を実現するタイヤ作りに取り組んでいるようです。燃料をセーブする一つの良い方法は、タイヤの回転抵抗を減らすことだそうです。この抵抗は車重によって何回もタイヤが痛めつけられることによって発生します。タイヤがバウンドすると、その運動エネルギーが熱に変わり、これが無駄になるのだそうです。こうした現象の事をヒステレシス損(電気専門用語らしく、調べて読んでみたのですが、私にはさっぱりわかりませんでした)と言うようなのですが、粉状の物質をラバーに混ぜてタイヤを作ると、これが減らせるそうです。

その粉状の物質として、かつては、カーボンブラック、すなわち石油製品の不完全燃焼から発生し、すすを出す物質が使われていました。最近ではシリカ(砂由来の二酸化珪素)がとってかわってきているそうです。シリカがよいのは、タイヤの路面へのグリップの減少を伴うことなくヒステレシス損を減らすことができる点だそうです。回転抵抗を従来よりも約30%減らすことができ、これによって燃料消費を5~7%減らすことができるそうです。さらにシリカは濡れた路面へのグリップも大きくすることができるそうです。

砂は安価ですが、タイヤに適した物質に変換するのは研究とお金が要求されます。自然界でシリカを様々な工程を経ることなく得られれば、そのほうがいいということになります。プラントオパール(植物の細胞組織に充填する非結晶含水珪酸体の総称)と呼ばれる小さなシリカ粒を含んだ草があるそうです。この草は草食動物を悩ますものではあるそうですが。

ピレリの技術者たちは米を製粉機にかけた後の残り物である殻から抽出できるこの物質が、タイヤのヒステレシス損をコントロールする有効な武器となると判断したそうです。米の殻はかつては利用価値のないものでした。ピレリの視点ではその逆です。ピレリは米どころの南ブラジルのとある町に工場を作ったそうです。

1トンのコメから200kgの殻が得られ、そこから40kgシリカが産出されるそうです。このプロジェクトの責任者は2015年までにピレリが400000トンのタイヤに必要なシリカの約3分の1をその工場が提供することになるだろうと述べています。この技術は他の米どころにも広がるものと考えられています。

当院をよくご利用していただいているブリジストンの本社が道を挟んで真向かいにありますが、日本でもこうした技術は可能なのでしょうか。興味深い所ではあります。

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