同意書って誰のためのもの?

先日、某大手保険会社メディカルサービスの会議に召集された。歯科の顧問医代表としてである。案件は、和歌山県の歯医者さんで親知らず抜歯時に舌神経麻痺を生じさせてしまった事故例であった。
会議の参加者は総勢20名ほどで、弁護士、医師で構成されていた。今回、歯科のケースということで私は初徴集された。
ある弁護士からは、「舌神経麻痺は、確率は低くとも事前に可能性を指摘するべきだ。」との意見がなされた。ならば、歯科医をしていて一生に1度あるかないかの確率である「局所麻酔で死ぬことがあります。」と、いちいち患者に説明し、いたずらに不安がらせないといけないのだろうか。
ある医師からは「切開を伴う抜歯は、患者から同意書をとるべきだ。」とのコメントがなされた。別に切開を伴わずとも同程度で危険を伴う処置は多い。
どの程度まで患者に説明し、どういう場合に同意書をとるのか。明確なラインが示されているわけでもなく、事故がおこってから、結果論で糾弾されるのも困ったものだ。
小手術の連続とも言える歯科治療はリスクが決して小さくないにもかかわらず、低保険点数の中で多くの歯科医が奮闘している。
別にこの歯科医を擁護も、過剰な非難もしない。
いろいろ思い返すと、いらいらしてくるのだが、そもそも同意書って誰のためのものなのだ?患者にサインさせ、医者が事故が起こった時の自分の身を守るためのものなのか?実際、事故が起これば同意書をとろうがとるまいが、医師側には必ず責任は発生する。(実際、私も事故を起こした事はあります。)
ただ、今回の会議で、歯科側の意識の甘さも存在することは、認識させられた。時代の流れで、歯科もきちんと同意書をとらなければならない。しかし、同意書は、あくまでも患者のためのものであるべきだ。多くの同意書例をみると、医者よりに書かれていて患者に署名させるものが多い。そうではなく、あくまでも情報提供の文書化であって、患者を安心させるものであるべきだと思う。様々な事故の可能性をずらずらと述べるだけでなく、実際事故が起こった時の対応まで書いたものが望ましいのではないかと思う。
松翁会も同意書の文面を真剣に考えなければならない時がきた。

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