前歯部インプラント埋入と骨造成(東京大手町勤務歯科医のブログ)

写真のケースは、私(長谷川)が所属している勉強会(阿部晴彦先生の咬合研究会)のメンバー(北海道の開業医)の紹介の方でした。下顎奥歯にインプラント2本を当院で入れて調子が良かったので、最近グラグラして調子が悪くなってきた上顎前歯にもインプラントで治療して欲しいとのことでした。もともと上顎前歯は歯根が短く、「近いうちに限界が来るかもしれません。」と申し上げていたので、抜歯となる事は覚悟されていたようでした。抜歯前に型をとり、模型上で抜歯を想定してあらかじめ仮のブリッジを製作しておきました。抜歯と同時に用意した仮歯を装着し、傷口の治癒を待ちました。
抜歯後2か月で骨造成とインプラント埋入を同時に行う治療計画をたてました。幸い元々骨が結構ある比較的イージーケースでした。前歯にインプラントを2本埋入し、ネジ山が露出している部分や骨が足りない部分に骨補填材を詰めて人工膜で覆い歯茎を閉じました。思えばこうした造骨系の手術は20年以上前に九州の糸瀬正道先生や山道信之先生にライブオペを何度も見学させていただいたのが始まりです。当時はサイナスリフトをはじめとする造骨処置は東京でまともな手術をやっている歯科医は存在せず(いたのかもしれませんが存じ上げず)、日本では九州の福岡を中心とする先生方のみがやられていました。国内での勉強会やアメリカミシガン大学などの海外研修にも参加させていただき、あとは自分自身で経験を積みながら、少しずつコツをつかんで、お二人のお陰で今日があります。当院スタッフの手術前から詳細なメモを見ながらの入念な準備、術中の的確な第一アシスト、第二アシストには頭が下がります。仕事は一人ではできません。手術後2か月ほど経ちましたが今のところ歯肉が裂開して人工膜が露出するなどのトラブルは幸い生じていません。もう数か月してから埋入したインプラントから立ち上がる土台に相当するパーツ(アバットメント)と歯冠部分の被せものを作っていく予定です。高額な治療にもかかわらず、手術後には手土産をいただいてしまいました。恐縮ですし、期待の大きさを感じますし、責任の重さを感じます。仮歯が2回ほど壊れたのでプラスチックの中に補強のワイヤーを入れました。矯正治療ではないのですが、こういう時にワイヤーを自分でさっと曲げられるようになったのも矯正セミナーに参加しているお陰かなと思います。最初からワイヤーを入れとけっていう話でしょうが・・・

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