全顎治療を行うにあたっては個々の歯だけでなく歯並びや上下のかみ合わせなど総合的にみる必要があります。まず治療前の上顎の歯の位置(あるいは歯並び)が適正な位置にあるかを診断しなければなりません。顔の正中矢状面に対して直行する平面上に、すなわち顔の正面から見て左右対称に歯が位置することが理想ですが、最後の3枚の写真にあるように左右でこんなにバランスが崩れてしまっている場合があります。要はかみ合わせの平面が左右的に傾いてしまっているわけです。顔に対してひん曲がっているとも言えるでしょう。大事な診断項目ですが、なんとなく勘でとか、技工士任せとか、患者さんに割り箸を横に噛ませて目分量で判断している例があるようです。実際にはシンラシステムという一連の器具を用いることで、歯の位置のずれをミリ単位で診断することが可能です。上顎歯並びが理想的な平面から、どのくらい歪んでいるかを調べるところから全顎治療が始まるといっても過言ではありません。個々の歯を診るだけでなく全体も診る、すなわち木を見て森も見るところから全顎治療は始まります。
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