勉強会での贅沢な時間(東京大手町勤務歯科医の全顎治療ブログ)


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11月30日、12月1日は咬合勉強会の定例発表会でした。私も発表者の一人としてフルマウスリコンストラクションのケース(サイナスリフトを伴うインプラントと残存天然歯の歯冠補綴)と上顎総義歯、下顎再生療法を含んだ歯冠補綴のケース(これもある意味フルマウスリコンストラクションのケース)の2症例をプレゼンさせていただきました。
フルマウスリコンストラクション(咬合再構成)には様々な定義の仕方があるかと思いますが、虫歯や歯周病、先天的な歯並びの悪さ、欠損になった部分の放置などの要因により咬み合わせが崩れてしまった状況を本来の理想あるいは理想に近いと考えられる咬み合わせに回復させ、効率のいい咀嚼器を提供することだと考えています。どの歯を保存し、どの歯を抜歯するのか、保存すると判断した歯牙に対して根管治療、歯根端切除外科が必要であったり、歯周基本治療、再生療法などの歯周外科が必要であったりします。また、保存すると決めた歯の位置が咬み合わせを構築するうえで不適切と考えられる場合には矯正治療が必要な場合が考えられます。その際、ミニスクリュータイプの矯正用インプラントを埋入し、それを固定源として歯を動かすことも検討する必要がでてきます。また欠損に対しては入れ歯でいくのかインプラントでいくのかを選択する必要があります。インプラントを行う場合にはサイナスリフト等の造骨が必要かどうかを検討します。入れ歯で行う場合には本義歯に行く前に仮義歯(治療用義歯)の必要性を検討します。
最初のケースは大学病院で骨が足りないからインプラントはできないと言われ(歯学部のない医科大学)、取り外し式の部分入れ歯を入れられたがほとんど使用していない方でした。このケースでは咬み合わせの平面が左右対称かどうかの診断、咬み合わせの高さが適切な範囲内かどうかの診断を行い、残存歯の数本に対して歯周外科処置、欠損に対してはサイナスリフトと呼ばれる副鼻腔内に骨を造る手術を行い、インプラントで修復し、天然歯と共にバランスがいいと考えられる形態で補綴(被せもの)しました。術前と比較した写真を見せると患者さんは大喜びでした。
2番目のケースは上は治療用入れ歯から本入れ歯(総義歯)、下の天然歯数本に歯周組織再生療法を行い、歯冠補綴を行いました。
発表会後、江東区で開業されている上川先生の患者さんで芸大出身の3人のプロの演奏家(マリンバ、サックス、声楽家)によるミニコンサートを楽しむことができました。楽器をセミナールームで組んでいただいて、音響効果もないような場所で音楽の素養のない聴衆にも楽しめるような見事な演奏でした。心洗われるようななんとも贅沢な時間でした。上川先生ありがとうございました。

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