患者さんの気持ちの変化

 40代フィリピン人男性の患者さんです。非常に多才な方で、フィリピン映画俳優、モデル、ボディビルダー、バレーダンサー(ロンドン王立劇団友情出演)、中古ピアノ売買、警視庁タガログ語指導員、など肩書は多岐にわたります。日本を拠点として、ビジネスでスペイン、シンガポール、タイ、台湾等を飛び回られている方でした。日本語がかなりできる方でしたが、治療内容説明がついて回るので、診療室内でのやりとりは英語です。

 コロナ前から来院されていて、主訴は「入れ歯のところをインプラントにして欲しい」でした。矯正や造骨処置の必要性を説明しましたが、モデルとしての写真撮影の機会が多く顔が腫れては困るということで既存の骨でインプラントが可能な場所に行いました。インプラントに仮歯が入ったところで、コロナでモデルとしての仕事が減ったので造骨や矯正も考えたいとお気持ちに変化が表れてきました。

 奥歯にインプラントを入れるために副鼻腔内に造骨処置(サイナスリフト)を行いました。その後のシミュレーションを行い患者さんの同意が得られれば、より良い咬み合わせを構築するために矯正治療も行っていければと思います。治療が始まる前と治療途中で、だんだん咬めるようになってくると、患者さんの気持ちが前向きに変わる事があります。治療終了したら、またアップしたいと思います。

上下の術前(左の2枚)から既存骨にインプラントを入れた現在の治療途中の状態(右の2枚)更に後ろにインプラントを入れるには副鼻腔内への造骨処置が必要でした。
術前(上段の2枚の写真)と現在の治療途中の左右の側面観。赤矢印の歯は手前に倒れていて青矢印の歯は90度近くねじれている状態でした。
局所麻酔下でサイナスリフト(副鼻腔内造骨処置)を行いました。1.骨溝を掘って、2.窓を開けたような状態にし、ここから内部の薄い膜を破らないように内側に剥がしていきます。3.できたスペースに将来骨に置き換わる顆粒状の材料をつめて窓をもどして、4.創面を保護する吸収性膜をおきます。
サイナスリフト前と直後。赤矢印のドーム状に見える部分が約半年に骨に置き換わります。
矯正治療のシミュレーション
矯正治療とインプラントのシミュレーション
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