今回の患者さんは根管治療がかなり前に行われ、セラミック冠が入っていたでした。根管は複雑な形をしていて、主根管から側枝と呼ばれる脇道のような構造があります。どんな根管治療の達人でもこの部分は根管治療では触れることができません。よってこの脇道に細菌が入り込んでいると、あとあと問題を起こすことがあります。この方の場合もそうでした。レントゲンでは歯根の先端というより側面に黒い病変がみられました。再根管治療を行うためには高価なセラミック冠を一度壊さなければなりません。また再根管治療の成功率も高くないため、患者さんと相談の上、外科処置を行う事になりました。マイクロスコープを覗きながら行ったところ、幸いにも感染の原因と考えられる側枝の入口を見つけることができました。これを超音波器具で拡大清掃しMTAセメントという専用の材料で入口を封鎖しました。約半年後のレントゲンで病変の消失が認められ、患者さんの症状も消退しました。
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