コンフォート・ゾーン

歯医者へ行くのが嫌だからというのではなく、仕事の忙しさや介護などの様々な理由で、悪くなった歯や欠損を放置せざるを得なかった結果、かみ合わせが崩壊して来院される患者さんがいらっしゃる。仕事や介護などが一段落し、ちゃんと直そうと来院される。そういった方々はたいてい「面倒ですみません」などと謙虚におっしゃられることが多いのだが、こちらからすれば実にやりがいを感じる場合が多い。一見、どこから、どう手を付けてわからないような状態にあって、口の中全体にわたって人工の歯を入れる作業は、単に根管治療や、インプラント治療といった断片的な知識や技術のみでは解決はむずかしい。歯科医療業界にあっては、咬合を作り上げることが究極の目標と言われている。最近出会ったケースはインプラント、入れ歯、場合によっては矯正も関与する可能性があるものだった。患者さんから採得した模型を分析し、崩壊した咬合をどう三次元的に再構築するかを考えるのは、実に想像力及び創造力をかきたてられる。したがって、治療のイメージ作りを模型上で行う作業は歯科医である私の仕事であって、技工士さんの仕事ではない。夜7時に診療が終わり、技工室でYoutubeの映画(13days:ケビン・コスナー主演、キューバ危機をどう乗り越えたかを扱っている)を聞きながら(見ながらではなく)、ワックス(蝋)で歯の形を作ったり、既成の人工歯を並べていく。この時の私は、ゾーンに入っている状態。夜10時までノンストップで作業をした。こうした仕事は充実感はあれど、疲労感はない。ワックスの表面をきれいにすることは、技工士さんにかなわないので、仕上げはまかせている。こうした複雑なケースはゴールまでは時間がかかるが、達成感は大きい。患者さんが満足されれば、こちらも最後までついてきていただいた患者さんに感謝の念も沸き起こる。様々なセミナー参加で勉強はしているが、患者さんから学ぶこと、教わることが一番大きいからだ。連休明けの患者さんへのプレゼンには間に合いそうなのでほっとした。
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