歯周組織再生療法

 私のブログを読んでお越しになった患者さんです。「右側でしっかり咬めるようにしてほしい。歯を極力抜かないでほしい。再生療法が可能ならやってほしい。」という内容で来院されました。上下の奥歯4本(上大臼歯2本、下大臼歯2本)が重度の歯周病に侵されていました。前の歯医者さんでは4本とも抜かねばならないと言われたそうです。私も基本的には同意見でした。特に上顎の2本については保存不可能と診断しました。下の2本については骨吸収範囲が大きかったのですが、救いは動揺がほとんどなかったことでした。一番奥は根分岐部が狭く、廓清が困難と予想しましたがとりあえず再生療法をやってみましょうということになりました。再生療法の結果が悪い場合には抜歯してインプラントが新たな治療内容にならざるを得ないことも申し上げました。上は歯周病で大きく骨欠損しているのでサイナスリフト等の造骨処置を行いインプラントで修復する予定です。その頃には再生療法の成否も明らかになると思います。責任によるプレッシャーもありますが、結果が楽しみでもあります。結局我々は患者さんから学ぶのだとつくづく実感します。よりクオリティーの高い治療を常に追求し続けねばなりません。

上下奥歯4本が重度の歯周病でした。上の奥歯2本は動揺が激しく保存不可能として抜歯しました。下の2本は動揺がほとんどなかったので再生療法を行うこととしました。
CTの3次元構築画像です。上の一番奥の歯は周囲の骨が全くない状態でした。上の奥から2番目の歯は骨の支えが僅かであり動揺が大きいため、この2本は抜歯しました。
局所麻酔をして歯茎を切開して剥離します。歯周病に侵された骨吸収部分を廓清し、骨補填材を詰めて縫合しました。
術中の拡大写真(血液があるので白黒写真にしてあります)。根っこの周囲に歯を支えていた骨が吸収していました。ここを清掃し歯周組織再生療法薬のエムドゲインと骨補填材(サイトランス)でパッキングしました。
術前(左)と術直後のレントゲンです。骨補填材が時間をかけて患者さん自身の骨に置き換わるのを待ちます。
術前(上)のCT3次元構築画像と術直後。骨欠損部が満たされているのがみてとれます。
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